家庭菜園や農業でよく使われる堆肥の一つに「牛ふん堆肥」があります。
牛ふん堆肥は、牛の糞に植物性の副資材を混ぜて発酵させた有機質肥料で、土壌改良や肥料として効果が期待できます。
しかし、牛ふん堆肥にはデメリットもあり、使い方や使用量に注意しないと、逆効果になることもあるので注意が必要です。
この記事では、牛ふん堆肥を入れすぎたらどうなるのか、適正な使用量やデメリットについて解説します。
牛ふん堆肥を入れすぎたらどうなる?
牛ふん堆肥を入れすぎると、植えた作物が栄養成分を摂りすぎてしまう「肥やけ」という状態を引き起こします。
成長させる目的のはずが、最悪の場合に枯れてしまうこともあるのです。
摂りすぎてしまう栄養成分にはリン酸とカリウムがあり、過剰に摂取すると次の成分が失われてしまいます。
- リン酸が増える→鉄・亜鉛などの微量成分の欠乏
- カリウムが増える→カルシウム・マグネシウムの欠乏
土壌の成分バランスがくずれると、野菜や植物は大きな影響を受けてしまいます。
牛ふん堆肥を入れすぎてしまったときの対処法は、次に植えるまでの期間を空けることです。
1か月ほどなにも植えずに放置しておきましょう。
また、入れすぎていなくてもしっかり混ぜずに堆肥がかたまりのまま残っていると、病気になる場合があります。
牛ふん堆肥を使用するときは、使用量を守ってしっかり土と混ぜ合わせてくださいね。
牛ふん堆肥の適切な使用量と計算方法は?プランターに使うときの配合についても
牛ふん堆肥の使用量は土壌の状態によってかわりますが、1平方メートルあたり2~3kgを目安に使用してください。
泥より砂質の多い畑では、1平方メートルあたり1㎏ほどで大丈夫です。
また、牛ふん堆肥は種類によって成分量が違うため、まいたあとの成長の様子をチェックすることが大切です。
入れすぎによる症状がみられたら、樹皮が成分の「バーク堆肥」や、落ち葉から作られた「腐葉土」などの植物性堆肥を混ぜて土壌のバランスを調整してくださいね。
プランターでの使用量は、牛ふん堆肥を10%に、バーク堆肥や腐葉土などの植物性堆肥は20%の割合での使用がお勧めです。
ポイントは、使用する土壌全体の30パーセントを堆肥(有機物)にすることです。
使用量の目安を覚えておけば、良い状態の土壌を作ることができますね。
牛糞堆肥のデメリットは使い方で防げる!虫がわく原因についても
牛糞堆肥には、次のようなデメリットがあります。
- 夏場の使用は牛糞の分解が進みやすく、アンモニアや有機酸が発生する(ガス障害や肥料やけの原因に)
- ナトリウムを含む糞尿が入っているため、塩害が起こる可能性がある(作物が枯れる)
これらのデメリットは、お伝えした堆肥の使用量を守れば防げます。
また、作物に被害が出る前に土壌のpHを測定し、対策をしておくと安心です。
「牛糞堆肥を使うと虫がわく」との口コミがみられますが、牛糞堆肥は60℃以上の熱で発酵させて売られているため、本来は虫がわくことはありません。
虫がわいてしまうのは、常に湿った状態の場所にまいたり、もともと卵が産みつけられていたりといった原因が考えられます。
虫がわいているのを発見したら、次のように対処しましょう。
- 赤玉土をかぶせてマルチング(表面をビニールで覆う)をする
- 堆肥をいちど土に埋めて2~3か月後に使う
増えてしまう前に対策をすれば、作物への影響を防ぐことができます。
牛糞堆肥は酸性?アルカリ性?土壌を正しいpHに改善!
牛糞堆肥はアルカリ性のため、混ぜたばかりの状態だとpHは上がります。
「土の性質が変わってしまうのでは?」と心配になりますが、しばらくすれば自然に下がってくるので大丈夫です。
落ち着くまで1週間ほど日を空けてから植えるようにしてくださいね。
植える作物によって適切なpHは違いますが、ほとんどの場合はpH6.0~6.5の弱酸性になるように調整します。
酸性またはアルカリ性に偏りすぎたときは、弱酸性になるように土壌を改善しましょう。
酸性からアルカリ性にするときは「石灰」を、アルカリ性から酸性にするときは、ミズゴケなどから作られた改良土「ピートモス」の追加をお勧めします。
牛糞堆肥を無料で手に入れる方法は?
牛糞堆肥がたくさん必要なとき、無料だと助かりますよね。
ホームセンターや直売所ではなく、直接牧場にお願いすると譲ってもらえる場合があります。
ただし、農業従事者に優先的であったり料金が発生したりと、すべての牧場で無料ではないので注意してくださいね。
ほかにも無料でもらえる場所を探すには、次の方法があります。
- 市のホームページや電話で問い合わせる
- 「ジモティー」のサイトを利用する
購入する前に、あなたの住んでいるところに無料でもらえる場所はあるのかチェックしてみてくださいね。
まとめ
牛ふん堆肥は、土壌改良や肥料として利用できる有機質肥料ですが、入れすぎると土壌のpHや塩分濃度が上がり、作物の生育に悪影響を及ぼすことがあります。
また、完熟していない牛ふん堆肥は、雑草の種や病原菌を含む可能性があるので注意が必要です。
適正な使用量は、畑の面積や作物の種類によって異なりますが、一般的には1坪あたり2~3kg程度が目安で、施用のタイミングとしては、作物を植える前に深く耕して土に混ぜ込むのが良いでしょう。
牛ふん堆肥を使う際は、品質や成分を確認し、適切な量とタイミングで施用することが大切です。
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